グルジアは「新しい東欧」という主体性を目指すべきではないか?

http://www.asahi.com/international/update/0808/TKY200808080395.html

ロシア軍機、グルジア基地爆撃 全面戦争の可能性

 【モスクワ=星井麻紀】グルジア軍は8日、同国からの分離独立を目指す親ロシアの南オセチア自治州に進攻し、大規模な攻撃を始めた。ロイター通信などによると、これに対してロシア軍機がトビリシ郊外のグルジア空軍基地を爆撃するなど報復攻撃し、軍事衝突が拡大している。死者も多数にのぼっている模様。グルジアとロシアが本格的な戦闘に突入する懸念が高まっている。

 南オセチアに駐留しているロシアの平和維持部隊司令官がインタファクス通信などに語ったところでは、グルジア軍の進攻で、南オセチア州都のツヒンバリは「ほぼ壊滅状態」という。同通信は、戦闘で平和維持部隊に派遣されたロシア兵10人以上が死亡したほか、「数十人から数百人」の死者が出ている可能性があるとしている。

 グルジア国家総動員令を発令。グルジアのサアカシュビリ大統領は、ロシアの戦車や装甲車150両が南オセチアに向かったと述べた。同大統領はまた、グルジア軍がロシア軍機を2機撃墜したと語った。AP通信はロシアのテレビ局の報道として、ロシア軍部隊が南オセチアに移動中だと報じた。戦闘がさらに拡大する恐れが強まっている。

 ロシアのメドベージェフ大統領は、安全保障会議を緊急招集して対応を協議。五輪開会式出席のために中国訪問中のプーチン首相は「グルジアからの攻撃は報復的な措置をもたらすことになる」と警告していた。

とうとう、かねてより懸念されていたロシアとグルジアの軍事衝突が起こった。
グルジアはロシアのすぐ左下にある元CIS加盟国で、ソビエト連邦の元でけっこうな扱いを受けてきた国の1つである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/グルジア
現在、志を共にするウクライナモルドバアゼルバイジャングルジアはGUAMという「反ロシア」国家共同体を構成している。また、現在GUAMに加盟していない元CIS諸国にも、国力の弱さゆえロシアに屈せざるを得ないが反ロシアである国は多い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/GUAM
グルジアは現在反露路線の一環としてEUへ加盟しようとしている。ロシアは近年EUに自国の勢力圏をじわじわ侵食されているのだが、グルジアが加盟するとついにEUと国境を接してしまう。正直仲良くやればいいじゃんと思うのだが、そうもいかないようでロシア側は必死になっている。
かねてより、ロシアはグルジアに「これ以上EUと仲良くするなら電力供給を停めるぞ」と脅し続けてきた(グルジアは電力とガスをロシアから輸入している)。北風と太陽で言えば北風である。
http://www.google.com/search?hl=ja&safe=off&client=opera&rls=ja&hs=gh8&q=%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2+%E9%9B%BB%E5%8A%9B+%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=
GUAM諸国は反ロシアでありながら、経済の多くをロシアに依存している。この「ロシアにつけられた首輪と手綱」を何とかしないことには、元CIS諸国がロシアの圧力を逃れることは不可能である。ロシアに依存することとロシアの圧力を受けることは表裏一体である。いかん、ロシアがゲシュタルト崩壊してきた。
また、ロシア嫌いな元CIS諸国とEUの間でも利害は完全一致しない。元CIS諸国をEUに取り込むということは、EU全体が今まで以上にロシアと対立する可能性があるということである。経済面でも、昨今の東欧諸国の加盟により、それまでEU内で労働力が安く外資参入による恩恵を受けてきたスペインやポルトガル外資の東欧への離脱に伴って、二階に上った後にはしごをはずされる形の打撃を受けており、それら以外のEU加盟国にも、自国の産業空洞化を懸念している声があるため、一枚岩ではない。
このように、元CIS諸国がロシアと縁を切って西側と仲良くするというのは、単純に宗主国を変える様には行かず、課題が多い。無理に動くと却って状況が悪くなる可能性がある。グルジアがいい例で、今回事件の起きた「南オセチア共和国」はまさにその反動の1つである。
南オセチア共和国グルジア内にある「国家内国家」で、ほとんどの国に承認されていないが、実質グルジアの北東部をロシアに隣接する形で実効支配している。ロシアとの結びつきが強く、つまりロシアがグルジア内の親ロシア勢力に援助をして建てた国である。同じような背景を持つ「アブハジア共和国」がグルジア北西にある。もっとも、この2国には「親ロシア」だけでなく「反グルジア」があり、状況は複雑で単純にロシアの策略とはいえないが、いずれにせよグルジアを勢力下に置きたいロシアはこの2国を利用している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/南オセチア自治州
http://ja.wikipedia.org/wiki/アブハジア自治共和国
そろそろ結論を出すパートである。
さんざん上で述べたように、現時点で「ロシアだ」「アメリカだ」「EUだ」と大国をあてに策動しても自身の分裂と退廃を招くのみである。多民族国家故に政情が不安定な国はモーリシャスを見習うとよい。こと国家外交において八方美人は得をする。
http://ja.wikipedia.org/wiki/モーリシャス
グルジアおよび元CIS諸国は、砂を噛む思いではあろうがまず自国の富国強兵に邁進したほうがよい。GUAMはそのいい傾向で、反ロシアを是とした国同士の協力をもっと推進し、「新しい東欧」といえる一大勢力が生まれることを期待する。アメリカの覇権衰退に伴う今後の世界多極化の潮流に乗ることができれば、東欧の発展はよりよいものになり、それは東欧だけでなく(たとえば通貨バスケットのリスク分散などで)世界に恩恵をもたらすはずである。
ほかにも東欧は地政学上でのハートランド問題とかいろいろあるんだけどまたそれはそのうちかく
http://www.google.com/search?client=opera&rls=ja&q=%E6%9D%B1%E6%AC%A7+%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89&sourceid=opera&ie=utf-8&oe=utf-8

参考
http://www.tkfd.or.jp/blog/kawato/2008/07/post_74.html